日本学術会議が新会員として推薦した候補者105人について、内閣府がそのまま首相官邸に上げていたことが2日、複数の政府関係者への取材で判明した。
人事の決裁は、内閣府日本学術会議事務局から内閣府人事課を経由して首相官邸に上げられる。政府関係者は「内閣府は『首相官邸側がいきなり覆した』と言っている。人選に関して内閣府が身分照会をかけることはなく、今回もそのまま推薦者全員を官邸に上げた」と指摘した。別の政府関係者は「事務方は今回、当事者能力はないから国会でも答弁のしようがない。官邸に聞いてくれ、となるだろう」と語った。
2日の野党によるヒアリングで、内閣府の担当者は「決裁文書で残っているものは、(学術会議から)推薦のあった105人のものと、99人を任命するという決裁文書だけだ」と説明。当初、105人を任命する決裁文書があったかについては明言を避けた。【竹地広憲】