日本学術会議が推薦した会員候補6人が任命されなかった問題で、6人を除外する前の推薦者名簿を「見ていない」とした菅義偉首相の発言が波紋を広げている。首相が見ていないとすれば、いつ、だれが6人を除外したのか、大きな謎が残るためだ。専門家からは手続きの「違法性」を指摘する声も出ている。

 菅首相の発言に早速、野党が疑問の声を上げた。立憲民主党の蓮舫代表代行は10日、東京都昭島市の街頭に立ち、「名簿を見ないで『総合的な判断』をしないでください。名簿を見ないで『俯瞰(ふかん)的な判断』をしないでください。矛盾だらけじゃないか」と指摘した。

 菅首相は9日の朝日新聞などのインタビューで、6人を除外した理由について「総合的・俯瞰的な活動、すなわち広い視野に立ってバランスの取れた行動をすること、国民に理解される存在であるべきことなどを念頭に判断している」「推薦された方々がそのまま任命されてきた前例を踏襲していいのか考えてきた」と説明。自らの判断であることを強調した。

 その一方で、除外された6人を含む105人全員分の推薦者名簿は「見ていない」と発言。9月28日に決裁する直前に、6人が除外された後の99人分の名簿を見ただけだと説明した。

「官僚がする訳ない」

 学術会議が提出した105人分…