日本生命保険は2021年4月から、すべての投融資の判断に、企業の環境問題や社会貢献への取り組みなどを考慮した「ESG」の考え方を採用する。独自に策定した評価基準を用い、経営の透明性や持続可能性の高い企業などへの投資を増やすことで、利回り向上とリスク低減を目指す。日本生命によると、全資産にESGの評価を導入するのは、国内の民間機関投資家では初めて。
日本生命は、保険加入者から集めたお金を市場で運用し、保険金の支払いに備えている。保有資産は約70兆円に及ぶ。日本ではこれまで、欧米などに比べてESG投資の規模は小さかったが、日本生命の動きにより、急拡大する可能性もある。
国内株式については、投資先の企業とESGの取り組みについて対話を行う。例えば、温室効果ガス排出量の多い企業に対しては、気候変動に伴う経営上のリスクや排出量削減に向けた取り組みを開示するよう求める。取り組みに改善が見られない場合は、保有する株式や社債を売却することも検討する。