[ワシントン 20日 ロイター] – 米司法省と11州は20日、米アルファベットGOOGL.O傘下のグーグルが市場での支配力を用いて競争を阻害しているとして、反トラスト法違反で提訴した。
グーグルは「人々は強制ではなく、選んでグーグルを利用している」と主張し、提訴には「深刻な欠陥」があると反論。一方、司法省高官は今後の対応を巡り、グーグル解体を含め「いかなる選択肢も排除していない」と強硬姿勢を示しており、激しい対立が展開されることは必至だ。
米ハイテク企業に対する訴訟としては、1998年のマイクロソフトMSFT.O以来の大型訴訟となる見通し。
共和党のホーリー上院議員は「今世代で最も重要な反トラスト訴訟」と強調し、グーグルが「不正な方法」で支配力を維持していると批判した。
訴状では、グーグルがインターネット検索と検索広告市場における地位を違法に維持していると主張。「裁判所命令がなければ、グーグルは引き続き競争を阻害する戦略を駆使し、競争プロセスを阻害するほか、消費者の選択肢を狭め、イノベーションを封じ込める」とした。
さらに、グーグルが米国のネット検索シェアの約90%、モバイル検索シェアの約95%を握っていると指摘した。
グーグルの昨年の売上高は1620億ドルと、ハンガリーの国内総生産(GDP)を上回る規模。
司法省と連邦取引委員会(FTC)は1年超にわたり、グーグルのほか、アマゾン・ドット・コムAMZN.O、アップルAAPL.O、フェイスブックFB.Oのハイテク大手4企業に対し、反トラスト法調査を進めていた。
カドロー米国家経済会議(NEC)委員長は、グーグル提訴を巡りトランプ大統領や政府高官が司法省と相談していたと明らかにしたものの、トランプ大統領の関与については明確にしなかった。
しかし、米大統領選を約2週間後に控える中、今回の提訴が政治的な意図があると受け取られる可能性がある。
提訴に加わった11州の司法長官は全て共和党。
また、司法省と11州による提訴とは別に、他の7州が連携して今後数週間中にグーグルを提訴する可能性があると、ニューヨーク州司法長官が明らかにした。
アルファベットの株価は序盤の取引で約1%上昇。その後は小幅ながらもプラスマイナス圏を行き来する展開となった。
ミラボウド・セキュリティーズのニール・キャンプリング氏は、議員が結束して行動を取ることに疑念が市場に漂っていたと指摘。「グーグルはすでに独占的な地位を確立し、インフラや人工知能(AI)、ソフトウエアや人材などに数十億ドルを投じている。こうした長年にわたる進展を巻き戻すことはできない」と述べた。
エドワード・ジョーンズのシニア株式アナリスト、デービッド・へージャー氏は「アルファベットは1200億ドルの現金を抱え、法廷闘争に挑み、制裁金を支払う能力が十分にある」と指摘。「引き続き、グーグルの検索広告、ユーチューブの広告、クラウドコンピューティングの長期成長見通しを楽観しており、投資判断『バイ』を維持する」と述べた。