【ワシントン時事】11月3日の米大統領選投開票日に向け、共和党のトランプ大統領(74)と民主党のバイデン前副大統領(77)の戦いは最終盤を迎えた。バイデン氏は4年前にトランプ氏が勝利した約10の州で優勢か互角の展開。一方、トランプ氏もこのうちフロリダなど南部を中心に激戦州で猛追を仕掛けている。

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 トランプ氏は30日、中西部を遊説し「バイデンは貧困と不幸、不況をもたらすが、私は雇用を届ける」と支持を訴えた。

 各州選挙人の過半数(270人)を得た候補が勝者となる大統領選で、トランプ氏は4年前、306人の選挙人を獲得。ただ、今回は前回僅差で制した中西部ミシガン(選挙人16人)、同ウィスコンシン(10人)、東部ペンシルベニア(20人)の3州で、バイデン氏に支持率で4~7ポイント後れを取る。3州とも落とせば敗北が濃厚。31日にはペンシルベニアで4回の集会を開き、必死に挽回を図る。

 大統領選のもう一つの舞台となるのが、南部フロリダ(29人)、同ノースカロライナ(15人)、西部アリゾナ(11人)の3激戦州。支持率ではバイデン氏がやや優勢だったが、トランプ氏がなりふり構わぬ地上戦で猛追し、互角か1ポイント差に詰めている。

 一方、バイデン氏も30日、中西部入りし、政権の新型コロナウイルス対応を批判して「トランプ氏はウイルスに白旗を揚げたが、米国民は諦めるわけにいかない」と訴えた。トランプ氏の攻勢は新型コロナ感染が広がる中西部では壁に突き当たっており、バイデン氏は、前回トランプ氏が5ポイント以上の差をつけた中西部のオハイオ(18人)やアイオワ(6人)、さらには共和党地盤の南部テキサス(38人)やジョージア(16人)でも勝負を仕掛ける。

 トランプ氏はこれら大半の州を守り、前回からの選挙人の目減りを36以下に抑えなければならない。統計学者ネイト・シルバー氏が運営する選挙予想サイト「538」は30日、バイデン氏勝利の確率を90%とはじいた。

 ただ、従来の選挙と異なり、新型コロナによる郵便投票急増で、開票や勝者確定までの流れに不透明さが漂う。郵便投票の不正を訴え、法廷闘争を示唆するトランプ氏は、容易に敗北を認めない構え。開票が比較的早く進む可能性があるフロリダやアリゾナなどを確実に制し、中西部激戦州の戦いに臨む心積もりとみられる。