元朝日新聞記者の植村隆氏(62)が「従軍慰安婦」について書いた記事を「捏造(ねつぞう)」とされ名誉を傷つけられたとして、ジャーナリストの櫻井よしこ氏(75)と出版社3社に謝罪広告の掲載と損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は植村氏の上告を退ける決定をした。18日付。請求を棄却した1、2審判決が確定した。

 1、2審判決によると、桜井氏は、韓国の元慰安婦の証言を取り上げた平成3年の朝日新聞の記事について「捏造」「意図的な虚偽報道」などとする論文を執筆し、週刊誌などに掲載された。植村氏は「事実に基づかない中傷で激しいバッシングを受け、家族も含め危険にさらされた」と平成27年に提訴した。

 1審札幌地裁は30年の判決で「櫻井氏が、記事の公正さに疑問を持ち、植村氏があえて事実と異なる記事を執筆したと信じたのには相当な理由がある」として請求を棄却。今年2月の2審札幌高裁判決も支持した。