トランプ米大統領は5日、南部ジョージア州バルドスタを訪問し、11月の大統領選後初となる支持者集会で1時間40分演説した。1月に決選投票が実施される上院ジョージア選挙区の共和党候補者の応援が目的だったが、大統領選での敗北を認めていないトランプ氏は、時間の大半を使い自身の選挙について言及。「民主党が選挙で不正を働いたことは、米国で最も大きな公然の秘密だ」などと繰り返した。
ジョージア州では民主党のバイデン前副大統領とトランプ氏の票差が約1万2000とわずかで、州選管当局は2回の再集計を経てバイデン氏勝利を確定した。
しかし、トランプ氏は演説の冒頭で「言っておくが、ジョージアで勝ったのは我々だ」と発言。他の多くの州でも自身が勝利した結果が覆されたと、根拠のない主張を繰り返した。
CNNテレビなどによると、トランプ氏は演説前の5日午前、ジョージア州のケンプ知事(共和)に電話し、確定した大統領選の結果を覆すため、州議会の臨時会招集を求めた。
ケンプ氏は要求を拒否した模様で、トランプ氏は演説で「知事はなぜ民主党に味方するのか。恥を知るべきだ」などと何度も不満を口にし、2022年次期知事選への対立候補擁立も示唆した。
共和党は、上院であと1議席獲得すれば多数派を維持できる。決選投票に向け党の結束を促すことが目的の集会で、トランプ氏が身内批判を繰り返したことは「州内の党関係者にとって悪夢のシナリオ」(アトランタ・ジャーナル・コンスティテューション紙)となった。
一方、空港に設けられた演説会場は屋外だったが、集まった数千人の支持者は密着し、マスクを着用する人も少なかった。【ワシントン高本耕太】