[ワシントン 9日 ロイター] – 米国で新型コロナウイルス感染症による累計の死者が29万人に迫る中、政府の追加救済策実施やワクチン接種が現実味を帯びてきた。
米下院は9日、連邦政府の予算手当てに向けたつなぎ予算の1週間延長について採決を実施する。新たなコロナ救済法案での合意に向け、討議の時間を稼ぐことが狙いだ。
マンチン上院議員(民主党)はCNNに対し、民主共和両党の議員が「きょう中に90%の詳細を詰める見通し」と語った。
トランプ政権は前日、9160億ドル規模の新たな新型コロナ救済法案を提示。同案には民主党が求める州・地方自治体への支援金と共和党が求める企業の賠償免責が含まれるという。しかし、民主党指導部は不十分な内容として拒否している。
共和党上院トップのマコネル院内総務は記者団に対し、議員らが引き続き「合意に向けた道筋を模索している」と明らかにした。
さらに、政権の提案を拒否した民主党のペロシ下院議長やシューマー上院院内総務が「ことあるごとに協議を遅らせ、決定を覆してきた」と上院議場で批判し、「国民は一段の支援を必要としている」と訴えた。
米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会は10日、米ファイザーが独ビオンテックと共同開発した新型コロナワクチンの緊急使用を承認するようFDAに提言するかどうかを討議する。
トランプ政権のワクチン開発計画「ワープ・スピード作戦」の責任者を務めるモンセフ・スラウイ氏によると、FDAが早ければ12日までに承認し、ワクチン接種が13日か14日に始まる可能性がある。
ロイターの集計によると、米国での過去1週間の1日当たりの新型コロナ新規感染者は平均20万5600人超、死者は約2260人となっている。
アリゾナ州では8日、新規感染者が1万2000人を超え、これまでの最多記録からほぼ倍増した。アラバマ、オハイオ両州でも新規感染者がこれまでの最多を更新した。
アザー厚生長官はCNNとのインタビューで、バイデン次期米大統領の政権移行チームと会合したことを明らかにし、「完全かつ協力的、プロとしての政権移行を確実にする」と言明。「米国民を守る上で失策がないよう必要なことを全て行う」と語った。