「ここからの道筋はなお、極めて不透明だ」とパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が述べたのは、新型コロナウイルスのワクチン接種開始に伴う市場の楽観にくぎを刺すのが狙いでしょうか。追加の米経済対策が議会でまとまるとの観測も手伝い、S&P500種株価指数は過去最高値に接近しました。一部で予想されていた資産購入に関する変更はなく、今年最後の米連邦公開市場委員会(FOMC)はほぼ無風での通過となりました。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

数値には踏み込まず

FOMCはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0-0.25%で据え置くことを決定。雇用とインフレに「一段と顕著な進展」が見られるようになるまで、大規模な金融緩和を通じた経済支援を続けると表明した。FRBのパウエル議長は資産購入に関する新たな文言は「強力」だとしつつ、将来に購入の変更を生じさせるようなインフレ率や失業率について具体的な数値の特定は避けた。

日本は監視対象

米財務省はスイスとベトナムを為替操作国に認定した。中国に関しては為替操作国には認定せず、引き続き「監視対象国」とした上で、為替管理、特に中国人民銀行(中央銀行)と国有銀行との関係について「透明性の向上」を求めた。タイと台湾、インドを監視対象国のリストに追加した。

破竹の勢い

暗号資産(仮想通貨)ビットコインの価格が初めて2万ドルを超えた。年初来ではほぼ3倍となった。さらなる高値を見込む予想も出てきた。機関投資家からの需要に目を付けたワン・リバー・デジタル・アセット・マネジメントは、目立たないように6億ドル(約621億円)相当を超す暗号資産を買い集め、ブレバン・ハワード・アセット・マネジメントの共同創業者アラン・ハワード氏の協力も得ている。

つまづき

11月の米小売売上高は前月比1.1%減少し、エコノミスト予想の0.3%減より大きな減少となった。前月も速報値0.3%増から、0.1%減に下方修正された。2カ月連続の減少は今年の春先(3、4月)以来。ドイチェ・バンク・セキュリティーズのブレット・ライアン氏は、「事業閉鎖と新型コロナ感染第3波が影響を及ぼしている」と述べ、追加的な財政支援の必要性を指摘した。

上乗せ規制を解消

日本郵政グループ傘下のかんぽ生命保険は、自社株買いを実施し、持ち株会社である日本郵政の出資比率を50%以下に引き下げる方針を固めた。複数の関係者が明らかにした。郵政民営化法による「上乗せ規制」を解消し、魅力ある商品を市場に投入するなどして競争力を高める。

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