欧州連合(EU)と英国は自由貿易協定(FTA)締結交渉で大枠合意した。双方の当局者は現在、最終的な文言調整で詰めの作業を行っている。
事情に詳しい複数の当局者によると、合意にはジョンソン英首相とEUによる承認がなお必要。依然として決裂の恐れがあることを意味し、どのような内容であれ発表は数時間先になる可能性があるという。
複数のEU高官は、決定はジョンソン首相に委ねられていると語った。一方で英国側に詳しい関係者は、動く責任はEU側にあるとしている。
英国がEU単一市場を離脱する今月末までに合意を成立させようと、ここ数日はジョンソン首相と欧州委員会のフォンデアライエン委員長が直接介入し、数回の電話会談を行っていた。
交渉は23日にブリュッセルの欧州委員会本部で再開し、英水域におけるEUの漁業権と、英国がこの漁業権を将来制限した場合にEUが報復関税を課す権利について集中的に議論。EUの漁船が英水域で揚げる漁獲高は金額ベースで年6億5000万ユーロ(約820億円)と、両者間のモノの年間貿易額(5120億ユーロ)に比べわずかでしかないが、双方は漁業権の合意を広範なFTAを結ぶ前提条件に位置付けていた。
EU作業部会の外交官らは、合意が成立した場合に欧州議会で正式に批准する十分な時間がなくても1月1日までに発効させる方法を話し合ってきた。
準備状況について説明を受けた外交官によると、合意が成立すれば欧州委員会は非公式の合意書草稿を発表し、加盟国と欧州議会に送付。ブリュッセル駐在の加盟国大使らがこれを2日間かけて議論し、承認する計画になっているという。さらにFTA署名への書面手続きへと進み、31日までにEUの官報に掲載できるようにする。
原題:Brexit Negotiators Reach Outline of Historic Trade Accord (1)(抜粋)