[香港 23日 ロイター] – 香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は23日、「愛国者」による香港統治を確実にするための中国の計画に支持を表明、中国への憎悪感情をなくし、「一国二制度」という香港の統治モデルを維持するために必要な計画だとの認識を示した。週に1度の定例記者会見で述べた。
中国国務院香港マカオ事務弁公室の夏宝竜主任は22日、香港の選挙制度を改革し、民主派の影響力をさらに低下させる可能性を示唆。香港の統治は「愛国者」によってのみ可能だとし、「愛国者」とは中国やその憲法、共産党を愛する人で、反中「トラブルメーカー」は含まれないと述べた。
これは、2020年6月に中国が香港への統制を強める香港国家安全維持法(国安法)を制定して以降、香港が取ってきた権威主義をさらに強固にする措置となる。
林鄭長官は23日、香港の高度な自治を維持する「一国二制度」の合意の下で1997年に香港が英国から返還されて以降行われてきた一連の反政府抗議運動を列挙。
民主化を要求し親中政府が提案する法案を阻止する抗議運動は2019年の大規模デモで頂点に達したとし、こうした動きは中国および香港当局への「憎悪」をあおると強調した。
記者団に対し「これらの一連の出来事は中央政府に懸念をもたらし、行政長官としての私にとっても懸念事項だ」と指摘。「『一国二制度』が実行できないほど状況が悪化するのを食い止めるためには、中央政府レベルで問題に取り組む必要がある」と述べた。
香港の選挙制度改革は3月に発表される見通しで、立法会(議会)選での民主派勢力の出馬制限などにつながるとみられる。