[アムステルダム/ロンドン/ローマ/ジュネーブ 19日 ロイター] – 欧州規制当局が英アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンが「安全かつ有効」との認識を示したことを受け、フランスやドイツ、イタリアなどの欧州各国のほかインドネシアなどが19日、同社製ワクチンの接種を再開、もしくは再開する方針を表明した。

欧州連合(EU)の医薬品規制当局である欧州医薬品庁(EMA)は18日、アストラ製ワクチンについて、接種後に血栓ができるなどの報告事例に関する調査を行った結果、引き続き利点がリスクを上回るという「明確な」結論に至ったと表明した。

英国ではジョンソン首相が19日、1回目のアストラ製ワクチン接種を受けた。ジョンソン氏は約1年前に新型コロナに感染し、集中治療室で酸素吸入を受けた。

フランスでも、カステックス首相がアストラ製ワクチンを接種する様子をテレビで生中継し、同ワクチンへの信用回復に努めた。

仏保健当局は接種再開に当たり、アストラ製ワクチンの接種対象を55歳以上とする方針を発表。若年層で血栓ができるリスクが高いことへの懸念が背景にある。

ドイツでも19日朝、3日間停止していたアストラ製ワクチンの接種を再開。スペインとオランダは来週から接種を再開する計画。

また、イタリアのドラギ首相もアストラ製ワクチンを受ける考えを示した。

一方、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーは、接種再開の判断にはさらなる時間が必要とし、慎重な姿勢を維持した。

欧州以外では、カナダがアストラ製ワクチン接種に支持を表明したほか、インドネシア保健当局は「新型コロナ感染症による死亡リスクの方がはるかに高い」とし、週明け22日から接種を再開すると発表した。

こうした中、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、アストラ製ワクチンの接種を各国に呼び掛け、ワクチン平等分配のための枠組み「COVAXファシリティー」で同社製が9割以上を占めていることから「特に重要だ」と述べた。