[東京 23日 ロイター] – LINEの社長でZホールディングス(ZHD)の共同最高経営責任者(Co-CEO)の出沢剛氏は23日、対話アプリでのトーク上の動画・画像などのデータの保管場所を韓国から国内に移転すると明らかにした。親会社のZHDが、データの取り扱いを巡って外部有識者が検証・評価するため設置した特別委員会の席上で述べた。

出沢社長は、ユーザーなどに対し「多大なる心配や迷惑をかけ、大変申し訳ない」と陳謝し、動画・画像などのデータ保管について「日本に完全に移管する。可及的速やかに行う」と述べた。同日夜に開いた会見では「ユーザーの分かりやすさへの配慮が欠けていた。法的にどうこうではなく、ユーザー感覚でちょっとおかしい、気持ち悪い、というところに気を回せていなかった」と語った。

これまでのところ、ユーザー数に大きな変化はないという。公式アカウントは「自治体や政府関係機関での停止という話は認識している」とした一方、企業などには大きな動きはないとした。「個人情報の漏えいなどは現時点で確認していない」と説明した。

アプリによる健康相談やオンライン診療のサービスでも保険証や領収証、医師免許などの画像・動画ファイルを韓国のデータセンターで保管していたが、2月から国内に移転を進めているという。会員情報は国内で保管している。LINEペイの決済情報の保管も国内に移転する。

政府自治体向け公式アカウントのデータ保管とデータアクセスも国内化し、自治体向けコロナワクチン予約システムも国内化して提供を開始した。ユーザー向けのプライバシーポリシーで、データ保管国を明示していなかったことが「不親切だった」(出沢氏)とし、同ポリシーも改定する。

中国の関連会社から閲覧可能だった個人情報へのアクセスは遮断し、中国でのコミュニケーション機能の開発業務も終了した。中国での開発は長く続けてきたとし、「(17年施行の)国家情報法のタイミングでの潮目の変化を見落としていた」と説明。海外での開発は同社の強みだとし「手続きを踏んで継続する」と話した。

データの移転完了時期は、LINEメッセンジャーは6月、LINE公式アカウントは8月、LINEペイは9月を予定する。コロナワクチン予約システムは国内保管で開始する。

ZHDの川辺健太郎社長兼共同最高経営責任者(Co-CEO)は、特別委員会の席上で「親会社として監督・管理していく。外部のシステム監査も入れて信頼回復に努める」と述べた。