米ゴールドマン・サックス・グループが26日に行った105億ドル(約1兆1500億円)相当のブロック取引について、売り主を巡る臆測がウォール街を飛び交っている。投資家はまた、前例のないこのような売りが再び起こるのかについても思案している。
ゴールドマンのブロック取引は中国の大手テクノロジー企業や米メディア企業の時価総額を合計で350億ドルを消失させた異例の大量売りの一部だった。
ゴールドマンの取引は世界のトレーダーらのチャットルームで話題になった。ベルビュー・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ミシェル・クーシュ氏は「25年のキャリアの中で、これほどの大規模なブロック取引は見たことがない」と述べた。
ブルームバーグ・ニュースが確認した顧客への電子メールによると、ゴールドマンは百度(バイドゥ)とテンセント・ミュージック・エンターテインメント・グループ(騰訊音楽娯楽集団)、唯品会(ビップショップ・ホールディングス)の株式66億ドル相当を米市場の取引開始前に売却した。電子メールによると、その後メディア企業のバイアコムCBSとディスカバリー、オンラインファッション小売りのファーフェッチ、中国の愛奇芸(iQiyi)と跟誰学(GSXテクエデュ)の株式計39億ドル相当も売却した。
市場の外で価格を交渉することもあるブロック取引は珍しくはないが、これほどの規模で複数の取引が取引時間中に行われることはまれだ。
ウェルスパイア・アドバイザーズのシニアバイスプレジデントオリバー・パーシュ氏は、「極めて異例だ」とした上で、「問題は、これで終わりなのか、それとも29、30日に市場がさらにブロック取引の波に見舞われるのかだ」と話した。
ブロック取引で対象銘柄の株価は大きく動き、ヘッジファンドかファミリーオフィスが苦境に陥り売りを余儀なくされたのではないかとの臆測が浮上した。
「これが1つのファンドの清算なのか複数なのか、そもそもファンドの清算に関係があるのかどうか、理由は何なのかなどが分からない」ため、状況は不安材料だとパーシュ氏は述べた。
事情に詳しい関係者によると、モルガン・スタンレーも大口取引を取りまとめた。ブルームバーグのデータに基づいた計算によると、1銘柄について10億ドルを超える取引もあった。
ヘッジファンドのアルケゴス・キャピタル・マネジメントが保有株を処分したことがバイアコムCBSとディスカバリーの急落につながったと、IPOエッジが匿名の関係者を引用して報じた。CNBCはアルケゴスによる売りは恐らくレバレッジを効かせたポジションでのマージンコールに関係していると報じた。アルケゴスはジュリアン・ロバートソン氏のタイガー・マネジメント出身のビル・ホワン氏が運営。
ゴールドマンとモルガン・スタンレーの広報担当者はコメントを控えた。26日にアルケゴスのニューヨーク事務所で応答した人物もコメントを控え、フアン氏はコメントを求める電子メールに返信していない。
原題:‘Unprecedented’: Wall Street Ponders Goldman’s Block-Trade Spree(抜粋)