【上海時事】中国・新疆ウイグル自治区での人権問題に端を発し、外資の大手アパレル企業に対する不買運動が同国内で急拡大している。少数民族ウイグル族に対する人権侵害を理由に西側諸国が相次いで制裁に踏み切ったことに、中国の消費者が猛反発。新疆は衣料素材の綿花の世界的産地だが、各社は人権を重視する西側の消費者にも配慮せざるを得ず、板挟みに苦しんでいる。

強制労働は「作り話」 H&Mに訂正要求―中国商務省

 騒動の発端は昨年までさかのぼる。新疆での強制労働問題浮上を受け、スウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)が声明を発表。「取引先に強制労働が認められれば関係を打ち切る」などと新疆産綿花を調達しない方針を示唆した。

 この声明を、共産党の青年組織である共産主義青年団(共青団)が24日、「新疆の綿花を拒否しながら中国でもうけたいのか?」などと交流サイト(SNS)で蒸し返し、中国メディアが大々的に報じたことで、消費者の怒りに火が付いた。

 矛先は、スポーツ用品大手の米ナイキや独アディダスのほか、日本のユニクロなどの衣料ブランドにも拡大。各社との協力関係打ち切りを表明する芸能人が相次いだほか、H&Mは中国内の大手通販サイトで商品の検索ができなくなるなど事業継続すら危ぶまれる事態に追い込まれている。

 これに対し、中国当局は「消費者は実際の行動で反応している」(商務省)と黙認姿勢だ。

 H&M以外は、27日時点でも通販での検索は可能。上海の外資系企業に勤める中国人男性は「ナイキやユニクロは中国でのシェアも大きく、多くの雇用を創出しており、影響の小さいH&Mが狙い撃ちされたのではないか」と話した。