新型コロナウイルスはどうやら第4次感染拡大が始まったようだ。緊急事態宣言の発令が取り消され、五輪の聖火リレーがスタートした矢先の新たな展開である。政府は5日から大阪、兵庫、宮城を対象に「まん延防止等重点化措置」を発令するようだ。期間は5月5日までの1カ月間。ゴールデンウェーク前にこの措置が解除できるかどうか、これからの1カ月間が新た勝負どころだ。それにしても「まん延防止等重点化措置」って何だろう?2度目となった緊急事態宣言が年明け早々に発動され、延長に次ぐ延長。ようやく解除されたかと思ったら今度は新たな対策の発動である。何が、どう変わるのか。政府や自治体の繰り出す対策に追いつくのがやっとという目まぐるしさだ。中身を見れば緊急事態宣言とほとんど一緒。政府や自治体は何をやっているのだろうか、愚痴のひとつも言いたくなる。

NHKが「まん延防止等重点化措置」の内容を詳細に解説している。とりあえずはそれをベースに中身を整理してみる。この措置が発動されると対象地域では、飲食店に対して営業時間を午後8時までに短縮し、お酒の提供は午前11時から午後7時までとするよう要請することができる。また、対象地域以外でも知事の判断で営業時間の短縮要請を行うことが可能になる。宣言に比べると知事の独自判断が多少拡大されそうな印象だ。だが、基本的な方針は宣言とほとんど一緒。一律か地域ごとに細分化して適用するかの違いだけだ。個人的には最初からこの方式がいいのではないかと考えていた。コロナ感染拡大の1年を経てようやく地域ごとの対策導入に道が開かれたというわけだ。だが、依然として自治体が国に発動を要請し、国が専門家会議の意見を聞いて導入を決定する方式は変わらない。

コロナ対策では、政府の対応が後手後手になっているという根強い批判がある。アベノマスクを持ち出すまでもなく、ピンポイントで感染拡大を阻止する対策はほとんどない。これは日本政府だけではない。世界中、どの国も状況は似たようなものだ。だから取り立てて政府や自治体を批判するつもりもない。押したり引いたり、同じことの繰り返しが重要なのだ。これがウィズコロナの現実だと思う。批判するのも結構だが、要はコロナとどう向き合うかだ。答えのない社会的実験はこれからも続く。感染者のグラフを見ながら、国民は感染者が増えれば気を引き締める。減ればちょっと緩める。政治家が声高に自粛を叫んでも効かないが、感染者のグラフが右肩上がりになれば注意する。第4次感染もいずれ終息するだろう。その頃ワクチンの接種が本格的に始まる。ウィズコロナは終息に時間がかかる。少しずつ、一歩一歩進むしかない。それは覚悟すべきだ。