[6日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は6日、金融安定性に関する報告書を発表し、新型コロナウイルス禍からの景気回復に伴い投資意欲が高まる中、株式ブームやオンライン取引による個人投資家の台頭、ヘッジファンドの資金調達を巡る不透明性などを背景にリスクが増大しているという認識を示した。
ブレイナード理事は声明で「力強い回復への期待で投資家が熱狂する中、金融システムに絡むリスクを注意深く監視し、弾力性を確保することが重要である」と表明した。
商業用不動産は依然として潜在的に脆弱であり、特にコロナ禍によってオフィススペースの需要が減退しているほか、企業や家計もコロナ禍の影響で「かなりの負担を強いられている」と指摘した。
また、最近の株式市場の上昇が急速に反転する可能性や、ソーシャルメディアに起因した株価の急激な変動、米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントを巡る巨額損失問題によって浮き彫りとなったリスク管理などの問題に懸念を示した。
さらに、コロナの流行当初に償還が殺到し、FRBの緊急融資プログラムに組み込まざるを得なかったマネー・マーケット・ファンド(MMF)についても「構造的な修正」の必要があると訴えた。
企業と家計の状況については、政府による支援でバランスシートが改善したほか、負債による脆弱性も低減する一方、一部の企業や家計が取り残されていると指摘した。
家計の現金・預金残高は、昨年後半に約3兆ドルと2倍に増えたものの、借り入れのほとんどは信用度の高い借り手に集中。企業の延滞件数は短期、長期ともに減少し「バランスシートの改善が見られた」が、同時に信用度の低い家計や零細企業が直面する問題は根深いとした。