エネルギー戦略に精通する自民党の甘利明税調会長は12日、産経新聞のインタビューに応じ、「21世紀はデータの時代であり、半導体戦略が命綱になる」と述べ、党内に新たに「半導体戦略推進議員連盟」を発足させる考えを明らかにした。今月下旬に初会合を開く。甘利氏は会長を務め、安倍晋三前首相と麻生太郎副総理兼財務相が最高顧問に就任する。

 半導体は製造業から情報通信まで広範な産業を支えるが、地政学的リスクが高い台湾や、米国と対立する中国に生産拠点が偏る。菅義偉(すが・よしひで)首相が「グリーン」(脱炭素)と「デジタル」を成長戦略の柱に掲げているのを踏まえ、半導体の安定調達や研究開発加速化など政府を後押ししたい考えだ。

 首相が2030年度の温室効果ガス排出量の削減目標を13年度比で従来の26%減から46%減に引き上げたことには、日本が環境政策に消極的な印象を国際社会で払拭した点で「非常に成功した」と評価。一方、資源大国の米国や再生可能エネルギー導入で先行する欧州と比べ「日本は100倍の努力が必要だ」とし、目標達成には「安全が確認された原発をフル稼働しないと無理だ」と明言した。

 世界最大の排出国である中国が「2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量を減少に転じさせる」とし、具体的目標を示していない現状を「したたかな戦略が見え見えだ。最低でも今をピークアウトにすると言わせないと、各国の努力はほとんど意味をなさなくなる」と訴えた。

自民・甘利税調会長インタビュー詳報