けさニュースを見て「なるほど」と納得し、「さすが」と感心したのはこれ。「台湾 コロナ感染者の接触者たどる新ツール“5秒で手続き完了”」。NHKのwebサイトで見た。新型コロナを政府一丸となって押さえ込んでいる台湾。その台湾も変異種の登場で感染が広まりつつある。台湾はこの危機を乗り越えられるか、期待感と不安感がないまぜになっていたところにこのニュースである。IT担当閣僚のあの唐鳳氏、英語名オードリー・タン氏らが発表した。個人情報を飲食店に提供することなく当局のホットラインに携帯電話のショートメッセージを送るだけで、感染者との接触情報が通知される。日本は人力を使ってクラスターを発見し、濃厚接触者を割り出す。いわゆる積極的免疫検査だが、台湾流の免疫検査はスマホで簡単にできる。日本のCocoaはその後どうなったのだろうか。台湾と日本のデジタル格差は歴然としている。

台湾では飲食店に入る際、名前を登録することが義務付けられている。飲食店に設置されている用紙に書き込んでもいいが、スマホに入力すれば登録できるようだ。仮にその店の来店者がコロナに感染すれば、その店を使った利用者に自動的に感染情報が通知される仕組み。Cocoaも同じ機能を狙って開発されたが、感染情報が何カ月にもわたって通知されなかった。NHKによると台湾で感染対策の先頭に立つタン氏が新たに開発したのは、「QRコードに携帯電話のカメラをかざすと、訪問先を識別するための番号だけが記されたショートメッセージが画面に表示され、利用者はこれを送信すれば手続きが完了」するのだそうだ。メッセージは店にではなく当局の感染対策ホットラインに送られ、携帯電話会社はデータを28日間保存したのち削除する。これだと個人情報を他者に知られることもない。

以下は個人的な推測だが、飲食店に設置されているQRコードをスマホで読み取り、そこに書かれている番号を送信するだけで入店者が特定される。あとは同じ番号を持った感染者をシステム的に特定し、入店者に通知する。これだけで濃厚接触可能者が割り出せるというわけだ。まさに“5秒で手続きが完了”する。利用者には簡単だが、裏でものすごく複雑なシステムが動いているのだろう。飲食店だけでなくあらゆるところで利用可能だ。人手でやれば手間暇かかるが、デジタル化すれば瞬く間に終了する。デジタル社会が便利になる所以だ。翻って世界をリードするデジタル社会を目指す日本。感染防止で飲食店に時間短縮や酒類の提供禁止を呼びかける相変わらずのアナログ一辺倒。デジタル化もプランは立派だが実現力は貧相。足元はズブズブだ。状況を変えるにはまず役所が、各種報告をFAXからネットに切り替える。隗より始めよだ。デジタル化への近道はない。