フジテレビの番組「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラーの木村花さん(当時22歳)がSNS上で中傷されて自殺した問題を巡り、母親の響子さん(44)が、中傷の投稿をした長野県の男性に約294万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(池原桃子裁判長)は19日、男性に約129万円を支払うよう命じる判決を言い渡した。この問題で投稿者に賠償が命じられたのは初めて。

 響子さん側は訴訟で、花さんが昨年5月23日に亡くなった後、男性がツイッターに<あんたの死でみんな幸せになったよ、ありがとう><最後まで迷惑かけて何様?地獄に落ちなよ>などと書き込み、響子さんの心情を著しく傷つけたと主張。慰謝料を200万円とし、投稿者の特定に要した調査費用などを合わせて請求していた。

 男性は答弁書を提出せず、口頭弁論を欠席。争う姿勢を示していなかった。このため、判決は響子さん側の主張通りに事実を認定。ただ、「不法行為の内容や態様などの事情を考慮すれば、精神的苦痛に対する慰謝料は50万円が相当だ」などとして賠償額を減らした。

 判決後、響子さんは花さんの写真をプリントしたシャツを着て記者会見に臨み、「主張が認められたことは感謝しているが、被告がどんな考えで投稿したのかを裁判の場で知ることができなかったのは残念です」と語った。その上で「民事、刑事の両面から、中傷する投稿者の責任追及を続けることで、ネット上の暴力に苦しむ人たちの力になりたい」と話した。