【ワシントン時事】バイデン米大統領は21日、ホワイトハウスで韓国の文在寅大統領と会談し、「朝鮮半島の完全な非核化」への取り組みを強調する共同声明を発表した。声明に「台湾海峡の平和と安定維持の重要性を強調する」と明記し、中国をけん制した。バイデン氏が外国首脳と対面会談を行うのは、先月の菅義偉首相に続いて2人目。

朝鮮半島非核化へ外交努力 台湾の安定重視で一致―米韓首脳

 バイデン氏は会談後の記者会見で、ソン・キム国務次官補代行を北朝鮮担当特使に任命すると発表。北朝鮮政策の見直しを終えており、「調整された現実的なアプローチ」に基づき、北朝鮮側との接触を進めたい考えだ。金正恩総書記との会談については、核兵器廃棄を協議することを約束すれば排除しない意向を示した。

 政策見直しの詳細は明らかになっていないが、共同声明によると、トランプ前大統領と正恩氏が「完全な非核化」で合意した2018年のシンガポール共同声明や、南北対話をうたった同年の板門店宣言が基盤になる。

 対中政策では、共同声明への「台湾」明記に加え、米韓両国は、南シナ海の航行の自由を含む国際法の尊重を約束。中国包囲網とも目される日米豪印4カ国の連携枠組み(クアッド)など多国間主義の重要性も認めた。

 新型コロナウイルスをめぐり、韓国は接種が遅れているワクチン確保に向けて、米国に協力を要請。バイデン氏は会見で、韓国軍兵士55万人へのワクチン提供を約束した。

 経済分野では、文氏は、韓国の強みである半導体や電気自動車(EV)用電池などの分野で対米投資を拡大すると表明した。サムスン電子を含む韓国企業5社が計約394億ドル(約4兆3000億円)を投じる計画だ。