[キエフ/ビリニュス/モスクワ/オタワ/ニューヨーク 25日 ロイター] – ベラルーシが民間旅客機を強制着陸させ、反体制派のジャーナリストを拘束した問題について、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は25日、「国家的ハイジャック」と断罪したほか、欧州諸国からも非難の声が相次いだ。
ドイツのメルケル首相は「前例のない、許されない行為」と表明。マース外相は、反体制派ジャーナリスト、ロマン・プロタセビッチ氏の拘束が「高い代償を伴う」と警告した。フランスのルドリアン外相は議会で「ルカシェンコ政権が主導する盲目的な抑圧政策がさらにエスカレートしたものだ」と批判した。
フランスのマクロン大統領は、英国の同意が得られれば、6月に同国で開かれる主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)にベラルーシの反体制派らを招待したいとの考えを表明。これに対し英政府報道官は、現時点でそうした計画はないものの、会議ではベラルーシ問題が議題になると述べた。
欧州連合(EU)は24日、ベラルーシに対し、経済制裁を含む追加制裁を発動することで合意している。
こうした中、ロシアのペスコフ大統領報道官は記者団に対し、事件への関与を否定。最近は反ロシア感情により、あらゆることでロシアが批判されているが、批判する側はロシアに対する憎しみで正しい分析ができなくなっていると述べた。
公開された動画によると、プロタセビッチ氏は自身の健康状態が良好であるほか、合法的な扱いを受けていると発言したが、反体制派のスベトラーナ・チハノフスカヤ氏は記者会見で「プロタセビッチ氏が殴られ、圧力を受けていることは明白で、拷問されたことは間違いない」と話した。
ベラルーシ当局からのコメントは得られていないが、当局はこれまで一貫して拘束者に対する虐待への関与を否定している。
カナダのトルドー首相は記者団に対し「ベラルーシ政府の行動は言語道断かつ違法であり、まったく受け入れられない」とした上で、制裁強化の是非について検討していると明らかにした。一方、在カナダのベラルーシ大使館は今年9月1日をもって大使館を閉鎖すると発表した。
複数の外交筋によると、エストニア、アイルランド、フランスの3カ国は26日、国連安全保障理事会の非公式会合においてベラルーシ強制着陸問題を提起する見通しだ。