ADPリサーチ・インスティテュートが発表した5月の米民間雇用者数が大幅に増加し、4日発表の雇用統計への期待が高まりました。ただ、ADP統計と雇用統計が同じように市場予想を上回るあるいは下回ったのは1-4月のうち1回だけ。過度な期待は禁物です。もっとも、この日の米国株が安寄りしたように、強い経済指標はインフレ懸念を高めるため、すんなり買い材料とならないのが昨今の特徴です。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
1年ぶりの大幅な伸び
5月の米民間雇用者数は前月比97万8000人増と、2020年6月以来ほぼ1年ぶりの大幅な伸びとなった。財生産部門の雇用は12万8000人増。サービス業では85万人増えた。最も伸びが大きかったのは娯楽・ホスピタリティーで44万人の増加。これは11カ月ぶりの大幅な伸び。ヘルスケアや建設業、ビジネスサービスでも増えた。
好調な指標
米新規失業保険申請件数は前週比2万件減の38万5000件と、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以降で初めて40万件を下回った。米供給管理協会(ISM)が発表した5月の非製造業総合景況指数は64と、1997年の統計開始以降で最高となった。全18業種で活動が拡大。小売りや卸売り、建設、娯楽・レクリエーションなどのセクターの伸びが目立った。仕入れ価格指数が過去2番目の高水準となり、受注残の指数は過去最高だった。
15%の最低税率
バイデン米大統領は法人税に関する15%の最低税率導入を新たに提案し、共和党議員らに支持を訴えている。超党派での合意を目指すインフラ計画で必要な資金の確保を目指す考えだ。協議に詳しい関係者が明らかにした。15%の最低税率導入案は、バイデン政権がこれまで示してきた法人税率の21%から28%への引き上げ案に取って代わる。ただこの引き上げ案については別の形で実現を目指す可能性もあるという。
制裁を警戒
ロシアは政府系ファンド「国民福祉基金」のドル保有をゼロにし、ユーロと人民元、金に振り向ける計画だと、シルアノフ財務相が述べた。制裁の脅威がある中で、ロシア政府は米国関連資産へのエクスポージャーを減らそうとしている。この移行には約1190億ドル(約13兆円)の流動資産が関係することになるが、ロシア中央銀行の外貨準備の中で行われるため市場への影響を測定することは困難だ。
抵抗が難しく
トルコの5月消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比16.6%と、4月の17.1%から低下した。減速は8カ月ぶり。利下げを開始するよう圧力を強めるエルドアン大統領に対し、中央銀行総裁が抵抗し続けることは難しくなりそうだ。新型コロナウイルス感染者数の急増で、トルコ政府が厳格なロックダウン(都市封鎖)を先月導入したことが予想外のインフレ低下につながった可能性が高いとエコノミストらはみている。
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