【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)は2日公表した全米12地区の連銀景況報告(ベージュブック)で、5月下旬までの景気は「前回報告(4月)から幾分速いペースで緩やかに拡大した」と判断を引き上げた。部品などのサプライチェーン(供給網)障害や雇用確保の難航で物価上昇圧力が強まったと指摘した。

<新型コロナウイルス> 世界各国のワクチン接種状況

 新型コロナウイルスワクチン普及に伴う経済再開により、一部地区は景気が「大幅に拡大」(サンフランシスコ連銀)と報告した。個人消費が盛り上がり、娯楽や外食といった業種で改善が目立った。

 物価は前回から上昇圧力がさらに強まった。自動車生産などで供給網障害が継続。原材料も値上がりし「企業が悪影響を受けている」(カンザスシティー連銀)との懸念が示された。

 雇用も緩やかに回復。労働力需要に供給が追い付かず、「特に低賃金の時間給労働者の新規採用が難しい状態が続いている」という。初任給引き上げやボーナス増額で雇用を確保する動きも報告された。

 報告は5月25日までに集められた情報に基づき作成。6月15、16両日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)での討議資料になる。