[ドバイ/ワシントン 21日 ロイター] – イランの大統領選で当選したイブラヒム・ライシ司法府代表 (60)は21日、2015年に米国などの主要6カ国と結んだ核合意の立て直しに向けた協議に前向きな姿勢を示した。ただ、米国が対イラン制裁を解除した場合でも、バイデン米大統領との面会をきっぱりと拒否した。

米ホワイトハウスのサキ報道官もその後、最高指導者ハメネイ師がイランの実権を掌握していることに変わりはないとし、バイデン大統領が新政権の幹部と会談する計画はないと述べた。

米国務省はライシ氏が大統領選に当選する過程は「かなり作られたもの」と見なしていると指摘。ウィーンでの核合意を巡る協議は「数日内に」再開するとした。

保守強硬派のライシ氏は18日の大統領選で当選後の初めての記者会見で、近隣の湾岸アラブ諸国との関係改善を外交政策の優先事項とすると表明。その上で、敵対するサウジアラビアに対してイエメンへの介入を直ちにやめるように求めた。

イランは決裂した核合意を立て直し、イラン経済に大打撃を与えている米国の対イラン制裁を解除しようとしている。こうした中で反欧米派のライシ氏は8月3日、現実主義のロウハニ大統領の後任に就く

ライシ氏は「国益を保証するための交渉を支持する。米国は直ちに核合意に再び参画し、合意下の義務を果たすべきだ」と主張。イランの外交政策は核合意に限定されるものではないとし、「米国による制裁は全て解除され、イラン政府によって検証されなければならない」とした。

イランや欧米諸国の当局者はどちらも、イランの主要政策の最終決定権は最高指導者ハメネイ師にあるため、ライシ政権発足によってイランの交渉姿勢が変わる可能性は低いと指摘する。

米国が対イラン制裁を解除した場合、バイデン氏と会うかどうかを尋ねられたライシ氏は「それはない」と答えた。

湾岸アラブ諸国は、イランのミサイル計画や中東に「不安定」をもたらす行為と、核合意を分けることが危険であると指摘する。イランとサウジアラビアは何十年にもわたり、イエメンからイラクまでさまざまな国で代理戦争を繰り広げてきた。

ライシ氏は、ハメネイ氏の見解と同じように「地域内での活動とミサイル計画」は交渉の余地がないと語った。