[ワシントン 22日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は22日、コロナウイルス危機に関する下院特別小委員会の公聴会で証言を行い、FRBは労働市場の「広範で包摂的な」回復を促進するとし、インフレ懸念のみに基づいた性急な利上げは実施しないと改めて確約した。
パウエル議長は「インフレを巡る懸念を理由に、性急な利上げは行わない。実際のインフレ、もしくは他の不均衡の証拠が出てくるのを待つ」と表明。このところの物価上昇は、経済活動の再開に「直接影響を受けた」部門に起因しており、利上げを必要とする「経済のタイト化を示すものではない」と述べた。
その上で、今後の金融政策運営にあたり、FRBは人種間の相違を含む広範な労働市場の指標に引き続き注目していくとし、「失業に関する数字のみに注目することはしない」と表明。回復の恩恵が十分に共有されるよう「あらゆる指標を見ていく」と語った。
議員からは、FRBがインフレリスクと労働市場の回復との間のバランスをどのように取っているのかとの質問が出た。
パウエル議長は記者団に対し、政策変更に必要な進展が得られるまで、米経済は「まだ程遠い」との見方を示した。
議長の証言について、マニュライフ・アセット・マネジメント(ボストン)のアソシエート・ポートフォリオ・マネジャー、チャック・トメス氏は、先週の連邦公開市場委員会(FOMC)の内容をおおむね踏襲するものだったと指摘。「経済活動の再開を受け、インフレ圧力は予想より若干増大しているが、FRBはこの大部分は一過性のものとの見方を変えていない」とし、「今後は、FRBのトーンの変化につながるか、経済指標の展開を見守ることが重要になる」と述べた。