[ニューヨーク 14日 ロイター] – ニューヨーク外為市場ではドルが下落。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が下院委員会での証言でハト派姿勢を維持したことが材料視された。
パウエル議長は下院金融サービス委員会の公聴会で証言し、量的緩和縮小の開始など、支援策の解除は「まだ先」との見解を示した上で、「景気回復が完了するまで」、FRBは金融政策を通じて経済に「強力な支援」を提供すると表明した。インフレの高まりについては一過性という認識を改めて示した。
ステート・ストリートのシニアグローバルマーケッツストラテジスト、マービン・ロー氏は「パウエル議長はハト派的なメッセージを維持した」と指摘。「FRBは利上げの検討を始める前に緩やかなペースでの量的緩和縮小(テーパリング)に向かっており、引き締めはまだ数年先となることが予想される」と述べた。
朝方発表された6月の米卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前年同月比で7.3%上昇と、10年半ぶりの大幅な伸びを記録した。
同統計を背景に、主要通貨に対するドル指数は一時、92.832まで上昇し、先週付けた3カ月ぶり高値に迫った。その後は値を消し、終盤の取引では0.43%安の92.404。
ドルは対ユーロで0.45%下落し、1.183ドル。一時、4月5日以来の高値を付ける場面もあった。
ニュージーランド(NZ)ドルは対米ドルで1.29%上昇。NZ準備銀行(中央銀行)は14日、大規模資産買い入れ(LSAP)プログラムに基づく追加的な資産購入を23日から停止すると発表。中銀が早期に利上げに動くとの見方が広がった。
金融政策の先行きに格差が生じる中、豪ドル/NZドルは0.74%安の1.0636NZドルと、6月初旬以来の安値を付けた。
カナダドルは0.04%安。カナダ銀行(中央銀行)は14日、政策金利を過去最低水準に据え置く一方、量的緩和の縮小を決定。フォワードガイダンスは維持し、経済に内在するスラック(需給の緩み)は22年下半期に吸収されるとの見方を変えなかった。