身長162センチが、試合を支配した。
バスケットボール女子準決勝。日本の司令塔・町田瑠唯(るい)が、日本よりも平均身長で9センチ高いフランスの守備網を前に、果敢にドリブルを仕掛けた。
フランスとは1次リーグに続き今大会2度目の顔合わせ。初戦で日本の成功率が40%を超えた3点シュートは、当然のように警戒された。「そうなったら、思い切ってドライブを狙っていきたい」と語っていた町田。突破を阻止しようと相手が食いつくタイミングを見計らって味方へラストパス。五輪新記録となる1試合18アシストで、チームメートの得点をお膳立てした。
日本代表に名を連ねるようになって6年。司令塔役としては常に2番手だった。「うまいけれど波があるのが課題」というのがトム・ホーバス監督の評価だった。
昨秋、1番手だった本橋菜子が大けがを負い、先発の座が回ってきた。「私がやるしかない」。覚悟を決めた。責任感が、プレーの精度を高めた。
遅れてきた司令塔の覚醒。何よりも心強い武器を携えて、日本は初の決勝で王者米国に挑む。(松本麻美)