[ニューヨーク/ワシントン 10日 ロイター] – ニューヨーク州のクオモ知事(63)が10日、辞意を表明した。同州のジェームズ司法長官は今月3日、クオモ氏による11人の女性に対するセクハラ行為を認定する捜査結果を発表。バイデン大統領はクオモ氏は辞任すべきとの考えを示していた。

クオモ氏は2011年に知事に就任。テレビ放映された約20分の発言の中で、いかなる過ちも犯していないと改めて否定。ただ、「愛情やユーモアの表現が誤解された」行為により女性に不快な思いをさせたことに対し「完全に責任を取る」とし、「自分自身の考えでは一線を越えたことはない。ただ、その線が引かれている場所がどれだけ変わっていたかということを認識していなかった。世代的、文化的な変化があり、私自身はそれを完全には理解していなかった」と述べた。

その上で、知事の職にありながら反論を続ければ州政府の機能が麻痺し、新型コロナウイルス感染拡大がなお大きな脅威となっている中で多額の税金が無駄に使われると判断したとし、「状況を踏まえ、私にできる最善のことは辞任することだと考えた」と述べた。

クオモ氏の辞任は14日後に発効。22年12月の任期切れまで、民主党のキャシー・ホークル副知事が後任を務める。ホークル副知事は声明で「クオモ知事の辞任の決断に賛同する。辞任は正しいことで、ニューヨーク州民の利益にかなう」と述べた。

ニューヨーク州のジェームズ司法長官は声明で、クオモ知事の辞任で「一つの章が閉じられるが、正義に向けた重要な一歩となる」との考えを示した。

ホワイトハウスのサキ報道官は、バイデン大統領はクオモ氏から辞意表明について事前に連絡を受けていなかったと表明。バイデン大統領のほか、上院民主党トップのシューマー院内総務のほか、ペロシ下院議長ら民主党の重鎮もクオモ氏の辞任を呼び掛けていた。

クオモ氏は来年の州知事選で再選が有力とみられていたため、突然の辞任で混戦が予想される。民主党からはホークル副知事が出馬する可能性があるほか、ジェームズ司法長官の出馬も取り沙汰されている。