[ワシントン 24日 ロイター] – 米商務省が24日発表した7月の新築一戸建て住宅販売戸数(季節調整済み)は年率換算で前月比1.0%増の70万8000戸だった。4カ月ぶりに増加に転じたものの、深刻な供給不足による住宅価格の高騰が続いており、住宅市場の減速に歯止めはかかっていない。市場予想は70万戸だった。
前年同月比では27.2%減少。6月の販売戸数は、当初発表の67万6000戸から70万1000戸に上方修正された。米国で新築住宅が住宅市場に占めるシェアは1割程度と小さい。
JPモルガンのエコノミスト、ダニエル・シルバー氏は「様々な住宅指標で見られるように、新築住宅販売は最近の住宅市場の著しい冷え込みを示しており、昨年末から今年初めにかけての好調な動きと好対照をなしている」と述べた。
地域別の販売動向は、人口の多い南部が1.3%、西部が14.4%増加。一方、北東部は24.1%、中西部は20.2%減少した。
ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、マーク・ビトナー氏は「新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)で郊外への移住が加速したが、アリゾナ州、ユタ州、テキサス州、フロリダ州などの生活コストが低い都市部に移り住む人も増えた」と指摘。「対象的に、手頃な価格の住宅や低税率を求めて住民が転出したことで人口増が鈍化した地域では、新築住宅販売が失速した」と述べた。
販売価格は中央値で前年同月比18.4%上昇の39万0500ドル。販売は20万─74万9000ドルの価格帯に集中し、最も需要が高い20万ドル以下の住宅販売は全体の1%にとどまった。
ムーディーズ・アナリティクスのエコミスト、バーナード・ヤロス氏は「一戸建て住宅の販売価格はパンデミック前と比べて20%上昇した」と指摘。「新築住宅市場では価格の手頃さが大きな焦点になりつつある」と述べた。
在庫は36万7000戸と、前月の34万8000戸から増加。7月の販売ペースに基づく在庫の消化期間は6.2カ月と、前月の6.0カ月から拡大した。6─7カ月が健全な需給状況を示す水準とされる。
オックスフォード・エコノミクス(ニューヨーク)の米国担当エコノミスト、ナンシー・バンデン・ホーテン氏は「新築住宅に引き続き大きな需要が見られる中、価格上昇と建設受注残が足かせとなり、今後は販売が鈍化する可能性がある」と指摘。
一方、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)のチーフエコノミスト補佐、マーク・パリム氏は「十分な需要が存在しているため、年内は販売の増加が続く」と予想。ただ「販売加速のペースは、住宅建設業者が建材不足などの問題を克服し、建設受注残が解消されるペースに左右される」と述べた。