[25日 ロイター] – アフガニスタンを掌握したイスラム主義組織タリバンが、幹部を財務相や国防相などの主要閣僚に任命し始めたことが複数のタリバン関係者の話で分かった。驚異的な速さで全土を掌握してから1週間余りが経ち、軍事力を行使した制圧から、国の統治に軸足を移しつつある。

タリバン関係者は任命は暫定的としており、正式に発表されていないものの、アフガニスタンのメディアPajhwokによると、タリバン幹部のグル・アーガー氏が財務相、サドル イブラヒム氏が内務相代行に任命された。

このほかアルジャジーラはタリバン関係筋の情報として、ムッラー・アブドゥル・カユム・ザキール氏が国防相に任命されたと報じた。

首都カブールのタリバン幹部は、今週に入り主要な閣僚が任命されたことを確認。州知事もタリバン幹部の中から選ばれると述べた。

専門家によると、他に政府のポストに任命されたタリバン幹部の多くは南部のヘルマンド州とカンダハル州出身者の公算が大きい。

海外開発研究所(ODI)傘下の武装集団を専門に研究する機関のアシュレイ・ジャクソン氏は、閣僚に名前が挙がったタリバン幹部は「広く知られている人物」と指摘。「多様性も、民政政府の樹立に向けた意欲も示されていない」と述べた。

財務相に任命されたグル・アーガー氏は、タリバンの財務を取り仕切ってきた「グル・アーガー・イシャークザイ」として知られる人物と見られる。国連の制裁対象になっており、国際刑事警察機構(ICPO、通称インターポール)と国連によると、タリバンの創設者オマル師(Mullah Omar)と旧知の仲という。

国防相に任命されたザキール氏も故オマル師の側近。報道によると、米軍によるアフガニスタン侵攻を受け2001年に身柄を拘束され、07年までキューバのグアンタナモ米軍基地に収容されていた。

タリバンはこれまでに、アフガニスタン中央銀行総裁代行にタリバンのハッジ・モハンマド・イドリス氏を任命。幹部を主要ポストに任命すると同時に、財務省と中銀の中堅職員に職場に復帰するよう呼び掛けている。