菅首相は1日、9月中旬に衆院を解散し、自民党総裁選(9月17日告示・29日投開票)を先送りする可能性を否定した。首相は6日にも党役員人事と併せて内閣改造を行い、態勢を立て直したい考えだ。
首相は1日、衆院解散について「最優先は新型コロナウイルス対策だ。今のような厳しい状況では解散ができる状況ではない」と首相官邸で記者団に語った。総裁選に関しても「先送りは考えていない」と明言した。
衆院解散を巡っては、首相が9月中旬に踏み切り、総裁選を先送りするとの観測が広がり、党内では「延命のための解散は許されない」などと批判が高まっていた。8月31日には安倍前首相や小泉環境相が首相に対し、解散を思いとどまるよう伝えた。小泉氏は1日も首相官邸で約30分間、首相と会談した。
首相が9月中旬に解散に踏み切るのは困難な情勢だ。衆院を解散しない場合は、総裁選を行った上で、解散せずに「任期満了選挙」とすることを模索している。9月中下旬に衆院選の日程を閣議決定し、10月5日公示・17日投開票とする方向だ。総裁選で首相以外の候補が勝利し、衆院を解散すれば、衆院選は10月21日以降にずれ込む可能性がある。
一方、首相は3日に臨時の党役員会と総務会をそれぞれ開き、役員人事の一任を取り付ける方針だ。
歴代最長の在任5年以上にわたった二階幹事長は交代させる。党四役の刷新を検討しており、うち1人は二階派から起用する方向で調整している。焦点の後任幹事長には、知名度の高い石破茂・元幹事長、河野行政・規制改革相、野田聖子幹事長代行らの名前が取りざたされている。
ただ、総裁選直前という異例のタイミングでの人事に党内では不信感が高まっており、調整は難航する可能性もある。