[ワシントン 2日 ロイター] – 米連邦最高裁が妊娠6週目以降の中絶を禁じたテキサス州の法律に対する差し止め請求を退けたことを受け、バイデン大統領は2日、この法律は女性の権利を侵害し「違憲の混乱」を招くと警告した。

テキサス州法は前日1日に施行され、大半の中絶が禁止される。最高裁は法律の合憲性に基づいた決定ではないとして、異議申し立てを進めることが可能とした。

バイデン大統領は声明で、1973年の「ロー対ウェード判決」で認められた中絶する権利を守るために連邦政府機関に対応するよう指示。テキサス州法は「違憲の混乱を招き、執行者を自称する者に権限を与え、壊滅的な影響を及ぼす」とし、女性が直面する最も私的かつ個人的な健康上の判断に介入する力を見ず知らずの人に与えることになると述べた。

テキサス州法は、妊娠6週以降の中絶を求める女性やその支援者を一般市民が訴える権利を認め、勝訴すれば最低1万ドルが得られると定めており、事実上の法の執行を一般市民に委ねている。

テキサス州法施行を受け、他州に類似する法律が広がることが懸念される中、フロリダ州のウィルトン・シンプソン上院議長(共和党)は地元テレビ局で、テキサス州に倣い同様の中絶禁止法案を次回の議会で提出すると述べた。

一方、民主党のペロシ下院議長は2日、各州がテキサス州のように厳格な中絶禁止法を制定することを阻止する法案について今後数週間で審議・採決すると表明。声明で、テキサス州法は「テキサス州の女性、特に有色人種や低所得者層の女性に破滅をもたらす」とし、9月20日までの休会期間終了後に審議すると述べた。

ただし、下院で可決されたとしても大半の法案成立に100議席中60議席の賛成が必要な上院で可決されるかは不明。上院では民主党が50議席を占めている。