[ワシントン 13日 ロイター] – 世界保健機関(WHO)と米食品医薬品局(FDA)の科学者らは英医学誌ランセットに13日に掲載された論文で、一般の人に対する新型コロナウイルスワクチンの3回目の追加接種(ブースター接種)は必要なく、1回目の接種もまだ受けていない人たちにワクチンを融通することで多くの命が救われるとの考えを示した。

論文執筆には、WHOの主任科学者ソミヤ・スワミナサン氏や緊急事態対応部門統括のマイケル・ライアン氏のほか、FDAのワクチン研究・審査局長マリオン・グルーバー氏と、副局長のフィリップ・クラウス氏らも参加。グルーバー氏とクラウス氏は向こう数カ月でFDAを退職すると表明している。

論文で「追加接種の必要性、もしくはそのタイミングに関するいかなる決定も、重症化が継続的かつ有意に防げたことを示す臨床試験(治験)、もしくは疫学上のデータの慎重な分析結果に基づいて行う必要がある」とし、「現時点で得られているエビデンスからは、一般の人に対する追加接種の必要性は示されていない」とした。

ただ、免疫力が低下している人に対しては追加接種の恩恵がある可能性があるとしたほか、ウクチン効果が薄れた場合や、新たな変異株が出現し既存のワクチンが効果的でなくなった場合などは、将来的に追加接種が必要になる可能性もあるとした。

米国のバイデン大統領は、ワクチンを接種していても感染するケースが報告されていることを受け、効果が薄れている恐れがあると懸念しており、追加接種を検討。FDA諮問委員会は17日に会議を開き、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンの追加接種について討議する。