【北京時事】巨額債務で経営危機に直面する中国不動産開発大手・中国恒大集団の社債利払い期日が23日に迫り、デフォルト(債務不履行)の懸念が強まっている。不動産業界に影響が波及すれば金融システムが揺らぎかねないとして、世界の投資家の間で不安が広がっている。
ロイター通信によると、恒大は23日に社債の利息8350万ドル(約90億円)の支払いを予定。期日から30日以内に利払いができなかった場合、デフォルトとなる。23日をしのいでも、年内に相次ぎ利払いの期日が到来する。同社の負債は総額で1兆9700億元(約33兆4000億円)。
恒大は電気自動車(EV)事業や不動産管理事業、香港のオフィスビルの売却などによる資金調達を模索しているものの、目立った進展はない。8月末には、調達が不調に終われば「デフォルトにつながる可能性がある」と説明した。
報道によれば、恒大は同社の投資商品の保有者に対し、現物の不動産で返済する方針を提示。一方、経営破綻に備えた動きも表面化しており、中国農業銀行は融資の一部について貸倒引当金を計上したという。
中国メディアによると、恒大の許家印会長は21日付の従業員向け書簡で「最も暗い時期を必ず早期に抜け出すことができる」と強調した上で、社会的な責任を果たしていくと言明した。
恒大は多額の借り入れと開発用地の積極的な取得を通じて急成長。ただ、住宅価格の高騰を受けて政府が不動産業界への融資引き締めを強化したことで、資金繰りが急速に悪化している。