[ニューヨーク 21日 ロイター] – バイデン米大統領は21日、国連総会で初の一般討論演説を行い、「新たな冷戦」は望まず、同盟国との連携を重視しつつ活発な競争を展開すると表明した。トランプ前大統領が掲げた「米国第一」主義と一線を画す考えを改めて鮮明にした。

気候変動問題にも積極的に取り組む姿勢も明示し、途上国の気候変動対策向け金融支援を2024年までに年間114億ドルに倍増させることを米議会と取り組んでいくと言明した。

バイデン大統領は、世界が「決定的な10年」に直面しているとし、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)や気候変動、サイバー攻撃の脅威などへの対応で各国の連携が必要と呼び掛けた。食料不足対策に100億ドルの支援を実施するとも表明した。

中国については直接的な表現は避けつつも、演説の随所で暗に言及。米国が経済的に活発に競争し、民主主義や法の支配を推進するとし、「同盟国や友好国と共に、力による領土の変更や経済的な強制行為、技術の搾取、偽情報などに立ち向かう」と強調。「新たな冷戦も、柔軟性のないブロックに分断された世界も求めていない」と述べた。

他国から批判の声が上がっているアフガニスタンからの米軍撤退については、「アフガンにおける20年間の戦争を終結させた。無慈悲な戦争の時代を終わらせ、徹底した外交による新時代を開く」と表明した。

イラン核問題の平和的な解決に向け引き続き尽力するとしたほか、北朝鮮による核および弾道ミサイル開発を巡る危機の解決に「持続的な外交」を望んでいると強調した。

また、民族や宗教的マイノリティー(少数派)への抑圧について、バイデン大統領は中国新疆ウイグル自治区を指摘した。

バイデン大統領の発言を受け、中国の国連代表部は記者団に対し、「全く根拠はなく、われわれは完全に否定する。米国は自国の人権問題により注意を払うべき」と語った。