【ニューデリー時事】イスラム主義組織タリバンが暫定政権を樹立したアフガニスタンで、経済政策の不備や政府資産凍結などを背景に、国民生活の混乱が続いている。世界食糧計画(WFP)によれば、国民の95%が十分な食料を取れず、飢餓の危機に直面。過酷な冬を前に、国連や国際支援機関などが人道支援を急いでいる。
「(タリバン暫定政権の)政府職員が状況を調べに来たが、その後は何もしてくれない。このままでは餓死してしまう」。アフガンの民放トロTVは2日、首都カブールの国内避難民キャンプで暮らす女性の声を伝えた。このキャンプには、戦火を逃れてたどり着いたものの娘の病気治療費が払えず、乳児を3万アフガニ(約3万7000円)で売った一家もあるという。
国連児童基金(UNICEF)は、今年末までに5歳未満児320万人が急性栄養不良に陥る恐れがあると警告している。うち100万人はすぐに治療を受けなければ死亡する危機に直面している。
カブール在住の地元記者は「自分の食事を減らし、子供に与えている。貧困と物価の急騰は国中を覆っている」と悲痛な叫びを上げた。中部バーミヤンの地元記者は取材に「最近、パンの価格が2倍に跳ね上がった」と指摘した。カブールでは、相互扶助の精神でパンを無料配布する店もある。インターネット交流サイト(SNS)上には、パンに多数の男性が殺到する写真が投稿されている。しかし、国民の「自助努力」にも限界がある。
タリバンが8月中旬に首都を制圧後、アフガン中央銀行が保有する約100億ドル(約1兆1000億円)の資産の大半は国外で凍結された。財源不足のタリバンは公務員給与をカットするなど急場しのぎの対策に終始し、有効な経済施策を打てていない。地元メディアは「失業率が劇的に上昇している」と批判した。
周辺国との貿易も滞り、国内での物価上昇につながっている。カブールでは「なぜわれわれは沈黙しているのか」と訴えるデモが発生。国民の不安は高まるばかりだ。
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