By – NEWS ONLINE 編集部
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月13日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。『文藝春秋』で発表された矢野康治財務事務次官の論考について解説した。
財政政策について
飯田)『文藝春秋』11月号に載りましたけれど、現役の財務事務次官が、政策に関して「バラマキ合戦」と批判したという記事について伺います。ここへ来て与野党に波紋が広がっていますが、どうご覧になりますか?
高橋)「ついにやってくれたな」と思いますね。
飯田)やってくれたな?
高橋)いままで表では言わなかった話を言ってくれたなと思いました。私も30年以上昔から、「これはおかしい」と思っていたのです。何がおかしいかと言うと、一般会計のフローと言って、収支だけで判断する。おまけにストックのところは債務だけしかないという。
飯田)いままで言わなかった話。
高橋)国の会計は一般会計以外にも、特別会計がたくさんあるのですよ。それがフローの段階では全部合わせていない。さらに、それを全部合わせたもので「バランスシートをつくって、債務だけではなく資産も見なくてはいけない」というのが会計学の基本なのですが、それに反している。最初から変だと思っていたのだけれど、政府のバランスシートをつくることがなかったから、きちんと説明できなかったのです。私が財投改革をやったときに、「政府のバランスシートをつくらないと絶対にできませんよ」と言ったら、「やっていい」と言われたのですよ。
飯田)バランスシートを。
高橋)一般会計以外も含めたものを全部つくったのですよね。それで初めてわかったのですが、「財政問題はない」というのはそのときからそうでした。
「バランスシートが読めない」会計学が0点の矢野氏の論考
飯田)この主旨の部分は、各党の経済政策に対して、「政府債務がこれだけあるのに、こんなにバラ撒いてもいいのか」というようなことが書いてあったわけですが。
高橋)はっきり言うとバランスシートが読めないという、会計学から見れば0点という状況なのですよ。みんな「意見だから、意見だから」と言うけれど、前提となる会計学の知識が0点というのは恥ずかしいことですよ。
財務省の事務方トップが「会計学に無知識である」ということを世界に晒した
飯田)矢野氏はもう少し踏み込んで書いていたかも知れませんが、資産の部分について「いきなり売ると言ったって、山や道路は売れないだろう」ということが出て来ますよね。
高橋)それはどんな会計でも一緒ですけれどね。売れなかったときには、それを担保としてファイナンスするなど、いくらでもできるのです。要するに、財務省の事務方トップが「会計学に無知識である」ということを世界に晒したというのが、私はポイントだと思います。
矢野氏の論文が間違っていると言えているのは安倍元総理だけ ~「あの論文は間違っている」
飯田)昨日(12日)の閣議後会見のなかで、閣僚の方々が「個人の意見だ」とか、「いままで政府が言って来たことから反していない」というような、どちらかと言うと擁護的な発言をしています。
高橋)「ずっと間違いを続けていて平気?」ということです。中身について言えないでしょう。中身について唯一言えている人は、安倍さんです。
飯田)安倍元総理。
高橋)「あの論文は間違っている」の一言でおしまいです。
飯田)間違っている。
高橋)このように「間違っている」とはっきり言えないとダメです。「意見だ」などと言うのは誤魔化していますよね。従来と同じだと言うけれど、従来からずっと間違っているのです。みんな中身について言えないのです。これでお里が知れてしまう人が出て来ますよ。
経済同友会の代表幹事「100%賛成だ」
飯田)経済同友会の櫻田代表幹事は、「書かれていることに100%賛成だ」と言っています。
高橋)それでは企業経営はできませんね。
飯田)選挙の直前で出て来たというのも、ハレーションを生んでいるところです。
高橋)官僚のやりたい放題であるという内閣の形を表していると思います。