[ワシントン 14日 ロイター] – 米労働省が14日に発表した9日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比3万6000件減の29万3000件だった。2020年3月中旬以来、約1年7カ月ぶりの低水準。市場予想は31万6000件だった。雇用の伸び鈍化の背景には、労働力需要の低下よりも労働者不足があることをさらに裏付けた。

2週連続の減少により、申請件数は健全な労働市場を示すとされる25万─30万件の範囲に入った。20年4月初旬の過去最高614万9000件から減少傾向をたどっている。

ハイ・フリークエンシー・エコノミクス(ニューヨーク)の米国担当チーフエコノミスト、ルビーラ・ファルーキ氏は、今回の申請件数は「深刻な供給不足の中、企業が従業員を手放すことにますます消極的になっているとの見方を裏付ける」と述べた。

調整前の申請件数では、フロリダ州、テキサス州、テネシー州で減少した一方、カリフォルニア州、ケンタッキー州、メリーランド州、ミズーリ州、ミシガン州で増加。ミシガン州での増加は世界的な半導体不足を受けて一部の自動車メーカーが製造ラインを停止したことが一因とみられる。

10月2日までの1週間の継続受給件数は13万4000件減の259万3000件と2020年3月中旬以来の低水準となった。

何らかの失業給付を受けている人は9月25日までの1週間で52万3426件減の364万9000件。先月の失業給付上乗せ措置の終了を反映した。

9月初旬に連邦政府の給付金支給が終了し、労働力不足は緩和される可能性もある。しかし、堅調な株式市場や住宅価格の記録的な上昇により、自営業者数や貯蓄金額、早期退職者数の増加が見られる中、労働力供給はしばらく低迷する可能性がある。

労働力の不足で原材料・商品の生産・出荷に携わる労働者が少なくなっていることが、サプライチェーンを停滞させ、インフレ上昇につながっている。