読売新聞社は31日投開票の衆院選について、19、20の両日、全国の有権者を対象に世論調査を行い、全国の総支局などの取材を加味して序盤の情勢を探った。自民党は議席を減らし、単独で衆院定数の過半数(233)を維持できるかどうかの攻防となっている。立憲民主党は公示前の110議席から着実に上積みし、日本維新の会も大阪を中心に躍進する公算が大きい。
公示前勢力が276議席だった自民は、小選挙区選で優位な戦いを進める候補が120人前後にとどまっている。40人以上が劣勢で、野党統一候補に苦戦している選挙区が目立つ。東京や大阪、愛知といった大都市圏では接戦の選挙区が多く、地盤の強い富山、島根、山口、高知の各県などでは議席独占の可能性がある。比例選では、前回の2017年衆院選並みとなる70議席近くを固めつつある。
公明党は、小選挙区選に9人を擁立し、大半が安定した戦いを見せている。比例選では前回の21議席を上回り、着実に積み増す見通しだ。自公両党では、絶対安定多数(261)をうかがう。
立民は小選挙区の候補214人のうち、優位に立つのは30人程度で、そのほとんどが共産、国民民主、れいわ新選組、社民4党と候補者を一本化した選挙区だった。60人近くが議席獲得へ接戦を演じている。比例選では40議席台に乗せる情勢で、公示前の110議席から20議席ほど伸ばす可能性がある。
共産は小選挙区選で1人が優位に立ち、比例選では15議席を超える勢いを見せており、公示前の12議席を上回る情勢だ。
維新は、拠点となる大阪の19選挙区のうち半数近くを固め、さらに議席増をうかがう。比例選でも前回の8議席から大幅に伸ばし、公示前の11議席から3倍近くとなる勢いだ。
国民民主党は21人を擁立した小選挙区のほとんどで苦戦しており、公示前の8議席を維持できるかどうかが焦点となっている。
れいわは比例選で複数議席を確保する可能性があり、社民は小選挙区で1人が安定した戦いを見せる。「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」は厳しい戦いを強いられている。
調査は電話で実施し、18万6863人から回答を得た。一定数の回答者が小選挙区選や比例選で投票する候補者や政党を挙げておらず、情勢は終盤にかけて変わる可能性がある。
衆院選には、小選挙区選(定数289)に857人、11ブロックの比例選(定数176)に194人(重複立候補を除く)の計1051人が立候補している。
◆絶対安定多数 =与党が衆院の全17常任委員長を独占した上で、全委員会で委員数の過半数を確保できる議席数与党が国会を安定的に運営できるかどうかの指標とされる。