[東京 25日 ロイター] – 来年4月の持株会社化で発足するパナソニックの電池事業会社、パナソニックエナジーの只信一生社長は25日、合同取材に応じ、米電気自動車(EV)大手テスラ向けに開発を進めていた新型車載用円筒型電池「4680」の実用化にめどがついたと明らかにした。今下期中に量産化に向けた試作ラインを国内で立ち上げるという。一方、アップルが開発を進めているEVに搭載するバッテリーに関して、今後の協業の可能性は否定しなかった。

「4680」はテスラが昨年9月に開発を公表。只信社長は「その前から(テスラと)議論してきた」とし、「技術的なめどが立ったので、国内で試作ラインを作っている。短期間で(米国での量産を)立ち上げられるところまで見極めようと考えている」と述べた。

中国の寧徳時代新能源科技(CATL)や比亜迪(BYD)が提供するEV用電池リン酸鉄リチウム(LFP)に関しては「環境負荷が小さく高容量で、安全性も高い商品で市場に貢献するのが最大の価値。そこに集中する」と述べ、同社はLFPの生産は行わず、4680の量産化に集中する方針を明確にした。

<アップルEV向け電池、協業否定せず>

アップルが開発を進めているEVに搭載するバッテリーの調達先とみられていることには「様々な可能性の広がりを否定するものでない」と述べるにとどめた。

ロイターは22日、アップルがEV電池の調達先として、パナソニックを候補に加えたと報じた。

ただ「主軸はテスラを中心とした現在のパートナーシップ。本来やるべき仕事が遅延するようなことにはならないよう配慮する」とした。