地球温暖化対策を決める国際会議、COP 26がスコットランドのグラスゴーで開幕した。よく耳にする割に詳しいことを知らない会議でもある。ついでだから基礎的な知識をまずはおさらい。正式名称は第26回気候変動枠組条約締約国会議、英語名はUnited Nations Framework Convention on Climate Change、省略名称はUNFCCCという。ちなみにCOPは、「締約国会議(Conference of the Parties)」の略。ちなみに第1回は1995年3月28日から4月7日まで、ドイツのベルリンで開催された。京都議定書が採択されたのは1977年の COP3。パリ協定は2015年である。1995年の第1回会合から数えればすでに26年が経過した。この名の影響で1年遅れの10月31日に始まったのが COP26。第1回会合から既に26年の歳月が経過した。その年に26回目の会合か開かれる。これも何かの因縁だろうか。

今回の会議の目標は産業革命以前に比べ地球の気温上昇を1・5度程度に抑えるというUNFCCCの大目標を実現するための具体策を取りまとめることだ。これまでさまざまな対策が議論されてきた。それでも遅々として進まないのが具体的な行動。グラスゴー会議はそれを明確にすることを目指している。その一つが各国の自主的な削減目標の上積みだ。例えば米国は2005年に比べ30年までに温室効果ガス排出量を50%強削減する目標を公表している。EUは90年比で40%減、日本は13年比で46%減、中国が05年比60〜65%減など、それぞれが自主的に削減目標を公表にしている。各国の目標は一見すると大幅な削減のように見える。だが、この程度の削減では温暖化の防止は到底追いつかない。地球上で異常気象が断続的に発生し、多くの人の命が奪われる可能性が高い。もっと積極的に削減すべきではないか、これが気候変動の関わる多くの人たちの共通認識である。

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が今月の9日、報告書を公表した。同報告書には、「2050年ごろに二酸化炭素(CO2)と他の温暖化ガス排出量を大幅に削減してネットゼロにしない限り、(地球の気温は)21世紀中に1.5度と2度の両方を超える」と明記されている。日米欧は50年までの実質ゼロを実現する目標を公にした。とはいえ、口頭で約束をしただけ、実現すると確約したわけではない。最大のCO2排出国である中国は30年までにCO2排出をピークアウトし、60年にまでゼロカーボンを実現すると表明した。インドはカーボンゼロの実現を70年に先送りした。目標はあくまで目標に過ぎないが、それを議論するための重要な国際会議に中国の習近平主席やロシアのプーチン大統領は欠席する。オンラインで参加するものの、CO2削減に向けた本気度にはかなりの温度差がある。日米欧にしても目標は高く掲げたものの、実現できる保証はどこにもない。すべてが雲をつかむような話である。人類は雲をつかめるのだろうか。