【ワシントン時事】米下院は5日、上院を通過した1兆ドル(約113兆円)規模のインフラ投資法案を賛成228、反対206で可決した。バイデン大統領の署名を経て成立する。支持率低下にあえぐバイデン氏にとって、経済分野では1兆9000億ドル規模の新型コロナウイルス追加経済対策法が3月に成立して以来の大きな成果となる。

 法案は民主党と野党共和党の超党派の議員が提出し、上院が8月に可決した。老朽化した橋・道路の改修事業や、鉄道、電力網、高速インターネット網などの整備が含まれ、バイデン氏が看板政策に掲げる成長戦略の実行に不可欠だ。

 民主党は来年11月に行われる中間選挙の前哨戦、バージニア州知事選で共和党に敗北。昨年の大統領選では、バイデン氏がトランプ前大統領に大差をつけて制した地域だけに、民主党内で危機感が高まっていた。

 バイデン氏はインフラ法案の意義について、「多くの雇用を生み出すとともに、21世紀の経済競争でわれわれを勝利に導く」と強調した。

 一方、バイデン政権がインフラ法案とともに重視する1兆7500億ドル規模の大型歳出法案は、5日の下院採決が見送られた。法案の細部をめぐって民主党内の中道派と左派の対立が続いており、議会通過のめどが立たない状況だ。民主党下院指導部は11月半ばごろの可決を目指す。