【北京時事】中国共産党は8~11日、今年の最重要会議となる第19期中央委員会第6回総会(6中総会)を北京で開く。結党100年を迎えた党の歴史を総括する「歴史決議」案を審議し、最終日に採択する見通しだ。毛沢東、トウ小平時代に続く第3の歴史決議となるが、混乱の総括が主眼の過去2回とは性格を異にする。中国が習近平総書記(国家主席)率いる「新時代」に入ったことを改めて宣言し、来秋の党大会以降も長期にわたって習政権が継続することを正当化するものになりそうだ。

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 過去2回の歴史決議は、権力闘争に伴う混乱に終止符を打ち、自らの指導的地位を確立するのが狙いだった。1945年4月の「若干の歴史問題に関する決議」は、結党以来繰り返された党内闘争で毛の政敵となった勢力の主張を「誤り」と断定し、「全党は一致して毛同志の路線の正確性を認識し、毛沢東の旗の下に団結した」と強調した。

 トウがまとめた81年6月の「建国以来の党の若干の歴史問題に関する決議」は、毛が発動し中国全土を混乱に陥れた文化大革命(66~76年)を「建国以来最も重大な挫折と損失をもたらした」と否定。毛については「重大な過ちを犯した」と指摘しながらも、「功績は過失をはるかに上回る」と述べて「敬愛する偉大な領袖(りょうしゅう)」の立場を維持した。

 一方、今回は「(総括すべき)『歴史問題』は存在しない」(中国の識者)。決議案を審議した10月18日の中央政治局会議でも、「毛沢東、トウ小平、江沢民、胡錦濤同志を代表とする共産党人が率いた革命、建設、改革は重大な成果を獲得した」と評価した。発表文の重点は習氏が就任した2012年以降に置かれ、「わが国の国際的地位は日増しに強固となり、中華民族の偉大な復興実現は不可逆的な歴史プロセスに入った」と指摘した。

 決議では「立ち上がり(毛)、豊かになり(トウ)、強くなる(習)」という3段階の歴史認識とともに、中国が建国100年に当たる49年までに「社会主義現代化強国」となる目標に向け、「新時代」に突入したことが強調される見通しだ。

 ただ、毛時代への回帰を進める習氏が今回、1981年決議の表現をどこまで踏襲するかも注目される。81決議は文革の反省から、「いかなる形式の個人崇拝も禁止する」「末端では直接民主を一歩一歩実現する」などと明記している。

 6中総会 中国共産党中央委員会第6回総会の略称。党の最高機関である中央委は年1~2回、総会を開き、重要政策や方針を決める。5年に1度の党大会の翌日に党人事を決める第1回総会(1中総会)を開催、翌年の第2回で国家機関の人事を内定する。第3~6回は経済など重要テーマを議論。昨年10月の第5回総会は新5カ年計画(2021~25年)と35年までの長期目標をまとめ、今年の全国人民代表大会(国会に相当)で正式決定された。第7回総会は党大会の直前に開かれる。(時事)