[グラスゴー 9日 ロイター] – 欧州の研究機関で構成されるクライメート・アクション・トラッカー(CAT)は9日、グラスゴーで開催中の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に提出された今後10年間の気候変動対策の各国の最新計画を実行しても、今世紀中に約2.4度の地球温暖化がもたらされると発表した。これは安全なレベルを大幅に上回る。
CATは、COP26参加国による2030年までの温室効果ガス排出量削減計画が実施されても、2100年までに国連の目標値をはるかに超えて温暖化が進む見通しだと指摘した。
CATは、15年のパリ協定で定められた産業革命以前の水準からの意欲的な目標に言及して「30年に向けたグラスゴーでの新たな計画でも、30年に1.5度の上昇を抑えるための排出量の約2倍排出することになる」とし、「全ての政府は目標を再考する必要がある」と説明した。
50年までか、それ以降に大気中の温室効果ガスレベルの増加を食い止めるという一部の国の長期目標「実質ゼロ(ネットゼロ)」を実行する「楽観的なシナリオ」では、今世紀中に1.8度の温暖化に抑えられる可能性があるとした。これは、国際エネルギー機関(IEA)が先週発表した分析結果と同じだ。
ただ、CATは大部分の国が目標達成に必要な短期的な政策や法律を実施していないため、長期的な計画が達成されるとの想定には警告を発した。
CATを構成する機関の1つ、クライメート・アナリティックスのビル・ヘア最高経営責任者(CEO)は「各国首脳がネットゼロ目標を掲げるのは結構だが、そこに至る計画がなく、30年の目標が多数の国で現在のように低ければ、率直に言って『ネットゼロ』目標は真の気候変動対策に対するリップサービスに過ぎない」と言及した。
CATによると、新たな計画を全く実施しない場合、世界の気温は今世紀中に2.7度上昇する。