SBIホールディングスによる新生銀行への株式公開買い付け(TOB)を巡り、国が新生銀が導入を目指す買収防衛策に反対の方針を固めたことが22日、分かった。新生銀が防衛策の是非を諮るため、今月25日に開催する予定の臨時株主総会で反対の議決権を行使する。国は新生銀の大株主で、SBIの新生銀への保有分も合わせると反対は4割以上に達する。防衛策は否決される見通しが強まっている。

 国は、預金保険機構と整理回収機構を通じて、合計で新生銀の2割強の株式を保有している。新生銀の経営陣が決定した買収防衛策を発動するには、株主の過半数の賛成が必要だ。新生銀株を保有する一部投資ファンドは防衛策に否定的とみられており、反対が過半となる可能性が高い。

 関係者によると、政府関係者が22日、新生銀の防衛策への対応を協議した。国が議決権を行使すれば、企業再編に深く関与することになるとの慎重論も出たが、SBIが新生銀をグループ傘下に収め、成長を促す戦略を描いていることを評価する声が優勢となった。

 SBIと並ぶ大株主の国が防衛策への反対方針を固めたことで、新生銀が防衛策を取り下げる可能性もある。

 国が保有する新生銀株は、前身の日本長期信用銀行の経営破綻に伴い、1998~2000年にかけて注入した公的資金の対価だ。新生銀には3500億円の公的資金が残っており、国に損失が生じないように公的資金を回収するには、東証1部に上場する新生銀の株価が7450円まで高まる必要がある。SBIのTOB表明前は1500円前後にとどまっていた。

 国は臨時株主総会での議決権行使の判断材料にするため、預金保険機構を通じて今月上旬、SBIと新生銀にそれぞれ経営方針などを問う質問状を送付していた。

 SBIはTOBを9月10日に開始した。新生銀株を1株2000円で買い付け、保有割合を現在の約20%から最大48%まで高める計画。SBIと連合を形成する地方銀行に新生銀の消費者金融事業や法人向け融資のノウハウを提供し、相乗効果で収益力を高めることを目指す。

 一方、新生銀は、SBIの取得株価が適正な企業価値を反映していないと主張し、TOBに反対していた。

 新生銀は、SBI以外の株主に対し、保有1株あたり0・8株を付与し、SBIの保有割合を20%台後半に引き下げる買収防衛策の発動を目指している。