• バイデン米大統領、この冬は米国で経済閉鎖やロックダウンは不要
  • G7が緊急の保健相会合、「早急な対応」が必要と主張
A Covid-19 safety sign at London Heathrow Airport Ltd. in London, U.K., on Monday, Nov. 29, 2021. Photographer: Jason Alden/Bloomberg

新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン」が存在する可能性を最初に指摘した南アフリカ共和国の医師、アンジェリク・クッツェー氏は、この変異株の患者が示す症状はデルタ変異株の患者に比べ軽度だと語った。同国の科学者らによると、オミクロンは他の変異株に比べ感染力が強い様子だが、既存のワクチンに重症化や死亡を防ぐ効果は十分にある可能性が高い。

オミクロン、感染急拡大もたらす恐れとWHO警告-感染力強いもよう

  バイデン米大統領も29日にホワイトハウスで開いた記者会見で、医療チームが緊急計画についてファイザー、モデルナと協力しており、ワクチンはオミクロンに十分な効果があると同チームは確信していると発言。米国は新たなワクチンやブースターの開発を加速させる意向で、現時点ではこの冬に渡航制限や経済閉鎖、ロックダウンの再導入は見込んでいないと語った。

バイデン米大統領、経済封鎖は現時点で想定せず-オミクロン変異株で

  ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、既存のワクチンがオミクロンに効果があるか数週間以内に判明するとしつつ、完全に効果がない可能性は低いと指摘。治療薬は変異株にも対応できるよう設計されているとし、オミクロンに特に対応するワクチンが必要なら95日以内に承認申請できる能力があると述べた。

  ビオンテックとモデルナは、両社がそれぞれ開発した新型コロナウイルスワクチンを新たな変異株「オミクロン」に対応させる取り組みを進めている。

ビオンテックとモデルナ、オミクロン対応型ワクチン開発に着手済み

  ニューヨーク市はマスク着用について新たな勧告を発表し、ワクチン接種の有無にかかわらず全ての屋内環境で着用を「強く推奨する」とした。ただ、義務化にはしていない。同市でまだオミクロン株の感染例は報告されていないが、近く感染が発生する可能性はあるとみている。

  各国の政府は渡航制限を強化。日本は外国人の新規入国を30日から全世界を対象に中止とし、イスラエルは14日間にわたり外国人の入国を禁止した。英国は入国者全員に再びPCR検査を義務付けた。

外国人の新規入国、30日から全世界を対象に中止-岸田首相 (2)

  オミクロン株の感染例はオーストラリアや英国、カナダなどでも報告され、エコノミストらは世界経済の回復見通しについて再考を迫られている。

   世界保健機関(WHO)はオミクロンが感染急拡大につながり「重大な結果」をもたらす恐れがあると警告。主要7カ国(G7)は緊急の保健相会合を開き、「世界は感染力の高い新たな新型コロナウイルス変異株の脅威に直面している」との共同声明を発表、「早急な対応」が必要だと主張した。

オミクロン、感染急拡大もたらす恐れとWHO警告-感染力強いもよう

  一方、市場はある程度の落ち着きを取り戻している。米国株は上昇し、ナスダック100指数は一時2.2%高と先週末26日の下げを取り返した。

  米ジョンズ・ホプキンズ大学とブルームバーグの集計データによると、世界の新型コロナ感染者数は2億6160万人、死者は520万人をそれぞれ上回った。ブルームバーグのワクチントラッカーによれば、世界のワクチン接種は計79億4000万回を超えた。

原題:Omicron Cases Seen Mild; Biden Cautions on Panic: Virus Update
Omicron Unlikely to Fully Escape Existing Shot, Pfizer CEO Says、
NYC Health Chief Advises Indoor Mask-Wearing Ahead of Omicron
Biden Says No New Travel Bans, Shutdowns Expected Due to Omicron(抜粋)