[ジュネーブ 29日 ロイター] – 世界保健機関(WHO)は29日、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」について、世界的に広がる可能性が大きいとの認識を示した。一部地域で感染者が急増し「深刻な結果」をもたらす可能性があり、グローバルなリスクが「非常に高い」とした。

WHOは加盟国への技術的助言で、優先度の高い人々へのワクチン接種の加速、必要不可欠な医療サービスを維持する計画の確実な実施を要請。

「オミクロン株は、これまで例のないほど多くのスパイクの変異がみられ、その一部はパンデミックにつながる潜在的影響に関連する」とし「新たな懸念される変異株(VOC)、オミクロン株に関連したグローバルリスクは非常に高いと判定されている」と述べた。

これまでのところオミクロン株に関連した死亡例は報告されていないが、オミクロン株ワクチンや感染によって獲得した免疫を回避する可能性については、一段の研究が必要とし、今後数週間でさらなるデータが出てくるとの見通しを示した。

「深刻度の変化に関係なく感染者の増加は、医療システムへの極めて強い需要、疾病率や死亡率の上昇につながりかねない」とし、脆弱な国、特にワクチン接種率が低い国への影響は深刻になるとの見方を示した。

オミクロン株は24日に南アフリカから報告されて以降、欧州の一部の国などで感染例が報告され、各国は相次ぎ水際対策を発表している。日本は29日、11月30日午前0時から全世界を対象に新規外国人の入国を禁止すると発表した。

WHOはさらなる勧告がでるまで、各国に「海外往来に関する措置の調整は機動的にリスクに基づくアプローチ」を取るよう要請した。

オミクロン株のスパイクタンパク質に多くの変異がみられることから、中和抗体による免疫を回避する可能性が高いものの、それを予測するのは難しいとし「オミクロン株の免疫回避の可能性の度合いについては多大な不確実性がある」とした。

また、比率は小さく予測可能ながら、ワクチンを接種した人が感染する事例が出てくると予想した。