南アで発見された新変異種・オミクロンの脅威に、多少だが緩和の気配が出ている気がする。WHOはきのう、オミクロンは一部地域で感染が拡大しており「深刻な結果」をもたらす可能性があると警鐘を鳴らした。NHKによると30日午前3時半現在、世界の16の国と地域でオミクロンの感染が確認されているという。同変異種の存在が確認されたのは先週の25日。まだ1週間も経っていない。これだけの地域でオミクロンが確認されたこと自体、新しい変異種の感染力の強さを証明しているのかもしれない。こうした中で岸田政権は世界のすべての国や地域を対象に新規入国を禁止した。世界の国々が同様の措置をとっており、変異種に対する初期の感染対策があっという間に出来上がりつつある。
こうした中で変異種の実態も少しずつ明らかになってきた。ブルームバーグによると、新型コロナウイルスの新たな変異種が存在する可能性を最初に指摘したのは南アフリカ共和国の医師、アンジェリク・クッツェー氏だという。同氏はオミクロン患者が示す症状は「デルタ変異株の患者に比べ軽度だ」と語っているそうだ。南アは国内に多数のHIV患者を抱えており、感染症の治療や研究は国際的にも最先端に位置している。これを支えるのが国立伝染病研究所であり、オミクロンの存在を公表したのもこの研究所である。同国の科学者らは「オミクロンは他の変異株に比べ感染力が強い様子だが、既存のワクチンに重症化や死亡を防ぐ効果は十分にある可能性が高い」(ブルームバーグ)と指摘している。
バイデン大統領はきのう、ファイザーおよびモデルナと政府当局者が緊急時の計画を検討しているとし、それを受けた形で「追加の措置は必要ないというのが現時点での当局者らの考えだ」と語っている。こうした言葉尻を捉えて安心するのは良くないかもしれないが、専門家の間では一時のような深刻感が多少薄らいでいる気がする。変異種と言ってもネズミが象に変異するわけではない。ウイルスという微小な世界で、人間への感染を誘導するスパイクタンパク質に数多くの変異が見られるということのようだ。mRNAワクチンは武漢ウイルスから切り取った遺伝子を体内に送り込み、人間が持っている免疫機能を活性化させている。ベースが武漢ウイルスという点がオミクロンに対する“弱み”だが、ワクチンの指数関数的な進化を信じればオミクロン恐れるに足らずということになる。ど素人の楽観論だが、果たしてどうか。
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