[ロンドン 19日 ロイター] – 英国のジョンソン首相は、オミクロン変異株の急拡大を抑制するためにイングランドで導入した新型コロナウイルスの規制強化策を終了すると発表した。新型コロナ感染者数がピークを過ぎたとして、新型コロナとの共生を模索している。
英国はオミクロン株の感染拡大による外国渡航を制限した最初の国であり、ウイルスの突然変異に警鐘を鳴らしてきた。昨年12月には、感染拡大を抑制するため在宅勤務の推奨、マスク着用の強化、ワクチンパスポート(接種証明書)の普及に取り組んだ。
感染者数が急増して過去最高を更新した一方で、入院患者数や死者数はそれほど増加していない。英国がワクチンの追加接種(ブースター接種)を導入したことや、オミクロン株による重症度が低いことが一因。
中国や香港が新型コロナに対してゼロ・トレランス(不寛容)政策を採用し、欧州の多くの国でも厳しく規制しているのとは対照的に、ジョンソン氏はロックダウン(都市封鎖)を回避し、新型コロナとの共生路線を取る構えを見せる。
ジョンソン氏は議員に対し「欧州の多くの国は、冬のさらなるロックダウンに耐えてきた。しかし、英国政府は異なる道を選んだ」と述べ、政府は最も厳しい決定を正しく下し、医療機関の集中治療室に入る人数は減少していると語った。
ジョンソン氏は「英の科学者は、オミクロン株による感染の波が全国的にピークに達した可能性が高いと考えている。並外れた追加接種キャンペーンと、『プランB』対策に対する国民の対応のおかげで、われわれはプランAに戻ることができる」とも言及した。
ジョンソン氏は、プランBとして導入された対策は全て撤廃すると説明した。例えば、マスク着用はいかなる場所でも法的に強制されることはなく、ワクチンパスは義務化されず、在宅勤務推奨も終了する。
ジョンソン氏は新型コロナのパンデミック(世界的大流行)への対応について批判を受けている。英国では15万2513人の死亡が報告されており、世界の国別の死者数として7番目に多い。スコットランドやウェールズ、北アイルランドはそれぞれ独自の新型コロナ対策を実施しており、全般的には規制を強化している一方で、緩和も始まっている。
ジョンソン氏は、ロックダウン中に首相官邸で一連の行事を開いていたことへの反発に直面しており、挽回を図りたい意向だ。
プランB対策の解除は、ジョンソン氏が厳しいロックダウンに頼らずにオミクロン株のかじ取りをしたこととともに、党内で反発が出ている中で自陣営の声高な制限反対派を沈静化させるのに役立つ可能性がある。
ジョンソン氏によると、データの裏付けが得られれば、新型コロナで陽性判定を受けた人が自主隔離する法的義務を今年3月の失効前に終了させる可能性がある。
ジョンソン氏は「しかし、それを可能にするには、この冬の最後の数週間に私たち全員が慎重に行動する必要がある」と訴え、医療機関への負荷が続いていることを警告。「パンデミックはまだ終わっていない」と強調した。